2014年6月18日水曜日

2014年06月18日 熊本県荒尾市議会 橋本誠剛 島田稔

平成26年第3回定例会(5日目) 本文

◯議長(迎 五男君)

(略)

平成26年請願第6号地方自治体における政党機関紙「しんぶん赤旗」の勧誘・配布・販売について自治体独自での実態調査及び是正を求める請願について討論に入ります。

通告がありますので、発言を許します。2番野田ゆみ議員。

〔2番野田ゆみ君登壇〕

◯野田ゆみ君

荒尾市が安心して暮らせる自治体であることを願い、反対討論をさせていただきます。

地方自治体における政党機関紙「しんぶん赤旗」の勧誘・配布・販売について自治体独自での実態調査及び是正を求める請願(平成26年請願第6号)に対して反対の立場から討論させていただきます。

私は、この請願を目にし、自治体が講読状況を調査するということは、憲法で定められている思想・良心の自由の侵害に当たるのではないかという危惧から、弁護士事務所へ調査に伺いました。そこで、やはり私が感じていた不安は的中いたしました。

まず、請願事項と要旨が不整合であり、政治的中立性を言うのであれば、ほかにもいろいろな政治的購読物があるのに、特定の機関紙だけを請願の要旨に書くのはおかしいと考えます。自治体が、職員がどんな思想を抱いているかを直接的にも間接的にも調査を強制することはできませんし、踏み絵のようなことを強制することはできません。

思想については沈黙の自由を保障されているのですから、憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」とあります。思想、良心の自由とは、憲法が保障する精神の自由で、内面的な精神活動の自由という精神的自由の根幹を占める思想、良心の自由を特に定めています。精神的自由権の基礎となるものです。「これを侵してはならない」とは、内心にある限りその保障は絶対的で、国家権力が内心の思想に基づき不利益を課したり、特定の思想を抱くことを禁止することはできないということです。

以上のことから、この請願を採択するということは、荒尾市行政に憲法違反となる行為を課すこととなり、荒尾市議会に禍根を残すことになります。

以上るる述べましたが、以上の理由から反対の討論とさせていただきます。議員各位の賛同を、よろしくお願いいたします。

◯議長(迎 五男君)

18番小川堯利議員。

〔18番小川堯利君登壇〕

◯小川堯利君

総務文教常任委員会の委員長報告が行われましたが、結果だけが報告されていましたので簡単に述べておきますと、私はこの請願の紹介議員になられた3名の方に、「紹介議員になった趣旨を述べていただきたい。」と橋本誠剛議員、島田稔議員、俣川勝範議員ですね、この3名の方に説明を求めました。橋本誠剛議員は最初に述べられまして、「議員が職員に対して赤旗を勧めることは圧力になる。」という趣旨の説明をされたと思います。耳が正確じゃないですから正確でないかもしれません。しかし、趣旨はそういうことだったと思います。それから、島田議員は、「共産党が政党助成金をもらっていないから、こういう圧力じみた拡大をやる、頑張るということじゃないか。」ということで、「政党助成金をもらったらいいんじゃないか。」という趣旨が加えられたと思います。

この問題に対しては当然、私は、共産党の市議会議員は荒尾市に一人しかおりませんので、私に関係する問題だと捉えておりますので、それについては私の立場から反論をしました。「政党助成金については、御承知のとおり税金を、共産党以外の政党が政党助成金として受け取っている。これは支持をしない人の税金まで受け取っているわけだから、これは憲法違反である、共産党は受け取らない。」ということで説明をしたわけですね。

そういうことがままありましたが、重要なことは「この3名の議員が3名の個人的な立場で出しているわけじゃない。要するに各会派代表として出している。」というふうに島田議員は言われましたですね。話し合いをされたとき、14名いらっしゃったということですが、各会派代表として紹介議員になられたということは、大体、与党会派が全員参加されているのじゃないかというふうに思います。これは、深刻な問題だと思います。

今から3点について、深刻さの中身について述べたいと思います。

まず、去る12月議会に行橋市の市議会で、日本会議地方議員連盟所属の市議会議員──小坪慎也さんという議員さんですが──「しんぶん赤旗」を攻撃する一般質問を行われています。これに対して日本共産党京築地区委員会は、1月9日付けで声明を発表、本日10日に同地区委員会と市議会議員徳永克子さんが市長に申し入れを行い、懇談を行っています。昨日、私も北園さんと一緒に前畑市長と懇談を行いました。まだ採決をされておりませんので、市長のところには届いてないということでした。

憲法が保障する政治活動、思想・信条の自由への攻撃は絶対認められない。靖国派行橋市議による「しんぶん赤旗」への攻撃に対する声明が、地区委員会から出されております。

2013年12月9日の行橋市議会一般質問において、日本会議地方議員連盟に所属する──これは荒尾市議会でも13名の方が所属されているというのがホームページに出ていますね──ですから、名前が出された人だけの問題じゃなくて、ほかにもいらっしゃるんじゃないかというふうに思うんですね、日本会議。この会議というのは極めて復古的な靖国論者で構成されているというふうに言われております。小坪市議は市庁舎内での職員の「しんぶん赤旗」講読及び日本共産党議員による拡大、配達、集金を禁止するように求める質問を行いました。これは日本国憲法で保障された政治活動の自由、思想、良心の自由を侵害する最悪の攻撃であり、絶対に許すことはできません。日本共産党は、市当局が毅然として不当な政治的圧力をはね返すように求めたい。

第1点に、小坪市議は日本共産党の議員や元議員が庁舎内で「しんぶん赤旗」講読の勧誘を行っていることについて、職員への心理的強制の疑いを抱かせるなどと攻撃をしました。これも橋本議員さんの話と同じだと思います。しかし、どの政党の機関紙であろうが、政党機関紙を国民広範に勧めることは、憲法が保障する正当な政治活動です。講読する職員にとっては、個人の思想・信条の自由、内心の自由の問題です。これに制限を設けることは許されません。

第2に、小坪市議は職員の自発的意思に基づく「しんぶん赤旗」講読について、「職員の政治的中立に対して市民に疑念を抱かせる。」と強調しました。しかし、自治体職員がさまざまな政党の考えや政策を把握するために政党機関紙を講読することは、何ら批判されるようなことではありません。本来、行政の中立性というのは、住民に公平・中立の立場で行政に携わることであり、個々の職員がどんな思想を持っているかとは関係がありません。ましてや、職員が職務に関連して勉強や研鑽のため、どの新聞や書籍など読もうが全く自由です。

過去に川崎市の当時の市長が、職員の政党機関紙の講読アンケート調査を実施した際、市職員6人が憲法違反の思想調査だと提訴しました。その裁判の判決は、「市職員が任意に政党機関紙を講読して各種の情報を入手し、それを職務に活かすことは最大限に尊重されるべきであって、いかなるものであってもこれを制約することが許されないことは当然。」と述べています。市当局は、小坪市議に対する答弁で、「『政治的中立に対する疑念』と言うが、過去に市民からの苦情はなかったこと、心理的強制についても、講読する、しないは個人の判断であり、外部からは判断できない。」と、総務部長が述べられております。これは当然のことですが、同時に政治活動の自由、個人の思想・信条の自由という憲法上最大限尊重されるべき権利の一つとして捉えるべき性格の問題だと思います。

第3に、小坪市議はあろうことか、市立図書館に寄贈されている「しんぶん赤旗」の資料展示についても中止を求めました。しかし、全国の図書館に「しんぶん赤旗」が置かれているのは、図書館の設置及び運営上の望ましい基準2012年12月19日、文部科学省告示第172号などの基準にのっとり、「しんぶん赤旗」が図書館の資料として位置づけられているからであります。小坪市議による「図書館の資料展示まで中止せよ。」と迫る質問は、特定秘密保護法の強行と軌を一にした市民の知る権利を侵害する暴論です。小坪市議に対し教育長は市の資料収集方針に基づき、「寄贈の申し出に対してはいかなる配慮も行わず、公平に展示し、今後も展示していく。」という毅然とした態度を示し、政治介入を退ける明確な答弁を行いました。この見地は非常に重要です。

御紹介したこの請願が政治活動の自由、思想・信条の自由を弾圧する内容であり、「圧力をかけた」という名誉を著しく棄損するものとして議会が取り上げる性格のものではないというふうに考えます。まだ採決がされておりません。この請願については、荒尾市議会ではぜひとも不採択にしていただきたい。このことをお願いして、このことは市民に対する、議会の権威を崩してしまうものだというふうに思います。多数決で何でも決めてしまうというやり方は、決して正しくないというふうに考えます。

以上を述べまして、反対討論といたします。

◯議長(迎 五男君)

ほかに討論はありませんか。14番橋本誠剛議員。

〔14番橋本誠剛君登壇〕

◯橋本誠剛君

ただいま議題に上がっております平成26年請願第6号地方自治体における政党機関紙「しんぶん赤旗」の勧誘・配布・販売について地方自治体独自での実態調査及び是正を求める請願、この件が議題に上がっておりますが、今ここで反対討論をなされたお二人、黙って聞いておりました。そのまま私も聞き流そうとは思ったんですが、議場で誤ったことを報告されて黙っておるわけにはいかないということで、急遽賛成の立場から討論をさせていただきます。

先ほど小川議員のほうから、委員会における審査の経過報告があったんですが、何か私が「共産党議員が新聞を勧めることがいけない。」みたいな報告がこの壇上であったかに思いますが、私はそういうことは申し上げておりません。大体この請願の趣旨にあること自体、ここにも書いてありますように、この請願のいちばんの問題は、「共産党に属する議員、また、元議員という立場の者が、勤務時間中の公務員に対して『しんぶん赤旗』の勧誘を行っている点が問題である。」という指摘があっております。そして、その請願事項の中に、「議員からの圧力、心理的強制について疑われる事例がないか実態の調査を求める。」ということであります。

要は、「こういうことで泣いておる職員がおるんじゃないんですか。」ということが問われております。正直言って、その政治思想がどうであるだとか、そういうことと私は論点が全然違うと思っております。

現にいろんな話を聞きますと、例えば議長に就任した途端に、「前議長も読んでおった。」、「議長は読んで当たり前たい。」というようなことで政党の機関紙を置いて行かれる。こういうことに問題があるんじゃないかということが問われております。そして、その特定の機関紙云々という言葉も先ほど出ましたが、私が聞いておる限りでは、例えば新社会党さんであるだとか公明党さんだとか、いろんな新聞がありますが、ちゃんと申し込み用紙を添えて置いて行かれるということであるならば、講読する側の任意ということであってしかるべきだと思っております。

そういう有無を言わさずに、例えば係長になったから講読するのは当たり前、みたいなことでの勧誘があっておるんじゃないんですかと。だから、「全国の自治体で実態調査をお願いします。」というのが、今回行橋市の市議会議員さんから出されておる請願の趣旨であると思っております。だから、くれぐれもこの議場にいらっしゃる皆さん方、論点を取り違えることがないように、その点だけはこの場できちっと申し上げておきたいと思っております。

良識ある議員諸氏の御賛同のほどを切に申し上げまして、賛成の立場から討論を終わらせていただきます。

◯議長(迎 五男君)

ほかに討論はありませんか。22番島田稔議員。

〔22番島田 稔君登壇〕

◯島田 稔君

平成26年請願第6号地方自治体における政党機関紙「しんぶん赤旗」の勧誘・配布・販売について自治体独自での実態調査及び是正を求める請願。賛成の立場で一言だけ申し上げておきたいと思います。

先ほどから、「思想調査」であるとか、あるいは「思想信条」というようなことは、私どもは委員会でも一切言っておりません。

私が議長就任時、具体的に委員会でも申し上げましたが、小川議員から、「議長になったら読まないかんとばい。」ということで、勧誘がございました。私も読ませていただいておったわけでありますが、なかなか読む機会がないということで、半年ぐらい経過をしたときに、集金に自宅のほうに来られますものですから、私の妻に、「小川さんの顔も立てないかんから、来月からは日曜版に変えたい。」と、こういうことを申し上げた経過がございます。それがおそらく集金の方のほうから小川議員に届いたんでしょう。顔色を変えて議長室に飛び込んでこられた。「議長もしよって『やめる。』ちゃあるか。」と、こういう事例があったもんですから、こういったことを、議会内でのやり取りしか私は知りませんが、職員に対して、管理職を中心とした職員の皆さん方に対して実態の調査、これだけを、どうなっているのかということを調べる必要があるんではないかということで申し上げたところでございました。誤解のないようによろしくお願いしたいと思います。

◯議長(迎 五男君)

6番池田章子議員。

〔6番池田章子君登壇〕

◯池田章子君

私も総務文教常任委員会に所属しておりまして、その場におりました。大変、小川議員の不十分な部分が、もしかしたら過去にあったかもしれない。しかし、私が問題にしたいのは、職員さんに思想調査とまでは言わないにしても、快に思っているか不快に思っているか、その調査をすることさえも問題ではないかと思うわけですね。

それを申し添えて、反対討論といたします。

◯議長(迎 五男君)

ほかに討論はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯議長(迎 五男君)

これにて討論は終結いたします。

採決いたします。本件の採決は、起立により行います。本件に対する委員長報告は、採択であります。本件について採択することに賛成の諸君の起立を求めます。

〔賛成者起立〕

◯議長(迎 五男君)

起立多数であります。よって、本請願は採択することに決しました。

この際お諮りいたします。ただいま採択した平成26年請願第6号については、執行機関に送付し、その処理の経過と結果の報告を請求することの取り扱いは議長に一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯議長(迎 五男君)

御異議なしと認め、さよう決定いたしました。

(略)