2011年12月16日金曜日

2011年12月16日 神奈川県川崎市議会 共産党議員

平成23年 第5回定例会-12月16日-06号

◆48番(竹間幸一)

(略)

続いて、政党機関紙アンケート調査と東京高裁判決について伺います。9月29日、東京高等裁判所において、いわゆる政党機関紙裁判に対する判決が出され、川崎市が当時の幹部職員全員に対して実施した政党機関紙の購読調査を違法、違憲であるとはしなかったものの、付言において、本件調査の不当性を厳しく指弾しました。判決は、第1に、本件調査の質問項目が思想、良心の自由の保障との関係で限界に近い領域にあり、このことは被控訴人、総務局も初期段階から法制課長を加えて協議を行い、調査用紙に個人の思想等を調べるものではない等を記載し、回収に当たり個人が識別されないように留意することを繰り返し注意するなど、本件調査が職員の権利保護との関係で微妙な問題をはらむことを認識していたことがうかがわれると指摘しております。第2に、調査対象とされた市職員にとって個人の政治的傾向等を推しはかることが可能な調査であり、回収、集計の過程でその回答内容がのぞき見られるのではないかと懸念し、不安あるいは不快の念を抱くことも無理からぬところがあり、実施方法を含めて最善の措置であったとは言いがたく、実施の当否や方法について慎重な検討が尽くされたとは言えず、適切な判断がされたとは認めがたいと指摘されているわけです。このように、本件調査について厳しく指弾した本件判決の内容を真摯に受けとめ、本件調査の不当性を原告に深く謝罪するとともに、職員の思想、良心の自由を侵害するような行為は二度と行わないことを表明すべきだと考えますが、市長に伺います。

○副議長(岩崎善幸)

市長。

◎市長(阿部孝夫)

政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査についてのお尋ねでございますが、本訴訟は、本市が実施した政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査によって、本市の職員であった控訴人らの思想及び良心の自由、プライバシー等が侵害されたとして本市を被控訴人として提起され、東京高等裁判所におきまして違憲、違法な調査ではなかったとして、本件控訴をいずれも棄却するとの判決が下されたところでございます。違法性はないとの判決でございますので、その結論を重視してまいりたいと存じます。以上でございます。

○副議長(岩崎善幸)

竹間議員。

◆48番(竹間幸一)

判決では、本件アンケート調査は、川崎市議会定例会における平子市議会議員の本件質問に対する阿部市長の本件答弁を契機とするものであり、本件質問においては、日本共産党の政党機関紙「しんぶん赤旗」が名指しされていたこと、平子市議会議員が所属する公明党と日本共産党は政治的主張を異にする政党であること、前記認定事実からうかがわれる阿部市長の政治的立場、本件質問が代表質問の関連質問として行われたものの、その質問通告は市議会定例会の直前に行われ、阿部市長は関係部局と答弁内容について相談することもなく本件答弁に及んでいること、本件質問及び本件答弁が川崎市議会議員選挙の約4カ月前という時期に行われたことなどからすると、平子市議会議員が政治的な動機から本件質問を行い、阿部市長においてもこれを承知の上で本件答弁をし、本件アンケート調査の実施に道筋をつけたものと推認され、その意味で、阿部市長の本件答弁が政治的な動機を背景に持ちつつ行われたことがうかがわれることは否定することができない。この点、被控訴人は、阿部市長の本件答弁は実質的には答弁を保留したものである旨、主張するけれども、阿部市長は本件答弁の前に関係部局と答弁内容を相談していなかったにもかかわらず、本件答弁において早急に調査を行うことまで明言しており、本件答弁の翌日には総務局長に対して実態調査の実施を指示しているのであるから、実質的に答弁を保留したものとは言えず、一定の方向性を打ち出したものと評価せざるを得ないと、このように断じられているわけであります。本件調査結果が阿部市長の政治的動機から行われたと言及されていることについて、市長はどう受けとめるのか、再度伺います。

○副議長(岩崎善幸)

市長。

◎市長(阿部孝夫)

政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査についてのお尋ねでございますが、本訴訟につきましては違法性はないとの判決でございますので、その結論を重視してまいりたいと存じます。なお、アンケート対象としたのはすべての政党機関紙でございます。以上でございます。

○副議長(岩崎善幸)

竹間議員。

◆48番(竹間幸一)

そういうことを調査用紙にもわざわざ明記して、さらに特定されないように回収に当たっても再三注意している。そういうこと自体が、極めて疑われる可能性が強いんだという指摘なわけです。その他、本件アンケート調査についても、次のような問題点も認められるという指摘もあります。本件調査は、川崎市議会定例会における本件質問と本件答弁を契機とするものであり、その実施前には日本共産党川崎市会議員団から思想、信条の自由に抵触することが懸念されるとして、本件アンケート調査を実施しないよう求められるなど政治的対立の様相も呈していたのであるから、市職員を巻き込むことなく、市議会における論争等を通じて解決するほうが適切であったとも言えると。被控訴人、総務局においても、本件アンケート調査の実施方法に関する検討の初期の段階から法制課長を加えた協議を行い、本件アンケート調査用紙自体にも個人の思想等を調べるものではないことや回答を強制するものでないことを明記し、回収に当たり個人が識別されないように留意することを繰り返し注意するなど、本件アンケート調査が職員の権利保護との関係で微妙な問題をはらむことを認識していたことがうかがえるとされているわけであります。にもかかわらず、アンケート調査を強行した市長の意図について、再度伺います。

○副議長(岩崎善幸)

市長。

◎市長(阿部孝夫)

政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査についてのお尋ねでございますが、議員という強い立場を利用して市の職員に政党機関紙の購読を無理強いするようなことは、どこの政党であってもあってはならないものと考えております。以上でございます。

○副議長(岩崎善幸)

竹間議員。

◆48番(竹間幸一)

そういう事実があったんですか。答えてください。

○副議長(岩崎善幸)

市長。

◎市長(阿部孝夫)

政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査についてのお尋ねでございますが、本件は違法性はないとの判決でございますが、なぜ共産党だけがこれを問題にするか、私はわかりません。以上でございます。

○副議長(岩崎善幸)

竹間議員。

◆48番(竹間幸一)

そういう事実はなかったんですよ。裁判の中でもそのことは明らかになっているじゃないですか。それを答弁では、そういう事実があるとしたら重大だと、こういうふうに市長は答えているんですよ。もう一度答えてください。

○副議長(岩崎善幸)

市長。

◎市長(阿部孝夫)

政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査についてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げました議員という強い立場を利用して市の職員に政党機関紙の購読を無理強いするというようなことは、どこの政党であってもあってはならないと思っていると述べたものでありまして、事実がある、ないとは関係ございません。

○副議長(岩崎善幸)

竹間議員。

◆48番(竹間幸一)

事実がないということを認めたと理解しておきます。

判決では、本件アンケート調査の質問項目の中には思想及び良心の自由の保障との関係で限界に近い領域にあると言わざるを得ないものがあり、回収方法についても本件においては結果的に問題がなかったものの、不十分であると言わざるを得ない点が認められるほか、本件アンケート調査が実施された理由、目的と実施に伴う問題点や実施に伴うさまざまな負担、得られた成果などを比較すると、本件アンケート調査の実施がその実施方法も含めて最善の措置であったとは言いがたく、実施すること自体の当否や実施するとしてもより穏当な方法について慎重な検討が尽くされたとは認めがたいところもあると、このようにされているわけであります。このことを踏まえても、なお違法性はないと言い切るつもりなのか、この点についてお答えください。

○副議長(岩崎善幸)

市長。

◎市長(阿部孝夫)

アンケート調査についてのお尋ねでございますが、本訴訟につきましては違法性はないとの判決でございますので、その結論を重視してまいりたいと存じます。判決は主文が最も大事であります。以上でございます。