駅、デパート、テーマパーク等、大勢の人が集まる場所では効率的な活動ができる。しかし、それらの場所で活動するには施設管理者の許可が必要不可欠であり、それは庁舎等公共施設とて同じことである。公園や道路においてもそうであるが、無条件に活動の自由を認めると許容量を超えて収拾がつかなくなってしまうからである。
政治活動、経済活動、言論活動、表現活動等々、庁舎等公共施設での種々の活動には制約がある。施設管理者の許可が、混乱を避けるための最低限の条件である。
議員は特別か
たとえ同じ建物の中にあったとしも、立法府と行政府とは別々の組織である。人の行き来はあるが、出入りが自由なわけではない。立法府には立法府のテリトリーがあり、行政府には行政府のテリトリーがあり、それらは相互に不可侵のものである。
建物の中に入る資格と特定のスペースに入る資格とは全くの別物であり、立法府の議員が行政府のテリトリーに立ち入るには、行政府の許可が必要不可欠である。
私物の購入
思想信条に基づく政党機関紙の購読は、職務とは関係のない職員個人のプライバシーであり、私物の購入である。故に、思想信条に基づく庁舎での政党機関紙の購読を認めると、通信販売等によるその他の物品の届け先を庁舎にすることを認めなければならなくなる。
執務室内での購入
住民の個人情報や自治体の機密情報等の保護の観点から、執務室に立ち入る以外の方法がない場合に限って許可するのが妥当である。今まで支障がなかったからといって今後も支障がないとは限らないし、被害が出てからでは遅すぎるからである。
勤務時間内の購入
1件当たり2~3分であっても10件20件と積み重なれば、30分、1時間と職務時間を削ることになる。故に、勤務時間外に購入するのが妥当である。
執務室内の政党機関紙
選挙前、選挙期間中の政党機関紙の中には、選挙ビラまがいのものがある。故に、これの置き方次第では、たとえその意図がなかったとしても、文書図画の掲示に類する政治的行為になってしまう。
資料の購入
幹部職員の多くが職務上必要と判断して購読しているのであれば、職務上必要である蓋然性が高く、組織として購入するのが妥当である。職員個人に私費で購入させるのは、間違った経費削減である。
購読調査
職務上の必要性から購読しているのであれば、職員個人の思想信条とは無関係であり、アンケート調査がプライバシーを侵害することはない。
本当に自由意志に基づく購読なのか
思想信条に基づく購読であれば、昇進前から読んでいる蓋然性が高く、退職後も読み続ける蓋然性が高い。
昇進後に読み始めたのであれば、思想信条に基づく購読である蓋然性は低く、職務上必要な購読である蓋然性が高い。もしくは、強要された講読である蓋然性が高い。
政党の支持率と幹部職員の政党機関紙購読率が著しく乖離しているのは不自然であり、少なくとも思想信条に基づく購読であるとは考え難い。これを思想信条に基づく購読であると合理的に説明できるのは、計画的に支持者を送り込んでいるか、幹部職員に的を絞って獲得工作を行っている場合である。
パワハラ的勧誘の有無
いじめ、セクハラ等にしても同様であるが、積極的、自発的な相談が無いからといってパワハラが無いということにはならない。「相談が無かったから無い」のと「調査をしたけど無かった」のとでは全く意味が違うからである。
川崎市の実態にしてもアンケートをして初めて明らかになったのであり、自由意志で購読していると判断する根拠が「相談が無いから」というのであれば、それは職員を突き放して見捨てることに等しい。
政党の責任
多店舗展開している企業がいずれかの店舗で問題を起こせば、他の店舗でも同様の問題が起こっていないか調査する。複数の店舗で同様の問題を起こしているのであればなおさらである。
複数の地域で同様の問題を指摘されているにもかかわらず、議員による庁舎内での政党機関紙の勧誘、配布、集金に関して党本部としての明確な見解を公表しないのは、それが党本部の方針であるから公表できない蓋然性が高い。
議員による庁舎内での政党機関紙の勧誘、配布、集金が党本部の方針であれば、実態調査をするまでもなく全国各地で行われているであろうし、もし行われていないのであれば、それは党本部に対する造反である。
政党機関紙の勧誘に関するアンケート
問1:議員から政党機関紙購読の勧誘を受けたことがありますか。
・はい
・いいえ
・回答拒否
問2以降は、問1で「はい」と答えた方への質問です。
問2:議員から政党機関紙購読の勧誘を受けたのは「いつ」ですか。※複数回答可能
・勤務時間内
・勤務時間外
・回答拒否
問3:議員から政党機関紙購読の勧誘を受けたのは「どこで」ですか。※複数回答可能
・執務室内
・執務室外(庁舎内)
・庁舎外( )
・回答拒否
問4:断った後も議員から政党機関紙講読の勧誘を受けたことがありますか。
・はい
・いいえ
・断ったことがない
・回答拒否
問5:議員から勧誘されて「断り切れずに」「仕方なく」政党機関紙を購読したことがありますか。
・以前購読していたことがある
・今現在も購読している
・ない
・回答拒否
問6:今現在、講読をやめたいけれどやめられない政党機関紙はありますか。
・はい
・いいえ
・回答拒否
問7:議員による政党機関紙購読の勧誘は、正当な政治活動、議員活動だと思いますか。
・はい
・いいえ
・その他( )
・回答拒否
政党機関紙の購読に関するアンケート
問1:今現在、庁舎内で政党機関紙を購読していますか。
・はい
・いいえ
・回答拒否
問2以降は、問1で「はい」と答えた方への質問です。
問2:いつから購読していますか。
・係長昇進後
・課長昇進後
・部長昇進後
・その他( )
・回答拒否
問3:勧誘されての購読ですか、自発的に申し込んでの購読ですか。
・議員に勧誘されて
・議員以外に勧誘されて
・自発的に申し込んで
・その他( )
・回答拒否
問4:どのような理由で講読していますか。
・思想信条に基づいて
・職務上必要だから
・断り切れずに仕方なく
・その他( )
・回答拒否
問5:一日の講読時間はどのくらいですか。
・読んでいない
・5分未満
・5分以上10分未満
・10分以上30分未満
・30分以上1時間未満
・1時間以上
・回答拒否
問6:どこで読んでいますか。※複数回答可能
・読んでいない
・執務室内
・執務室外(庁舎内)
・帰宅途中
・自宅
・その他( )
・回答拒否
問7:なぜ、自宅でなく庁舎を配達先に指定したのですか。※自由記入
赤旗の購読料(2019年5月7日現在)
1カ月 | 1年 | |
日刊紙 | 3497円 | 4万1964円 |
日曜版 | 930円 | 1万1160円 |
日刊紙と日曜版 | 4427円 | 5万3124円 |
【出典】しんぶん赤旗:「しんぶん赤旗」購読申し込み
ハラスメントに関するしんぶん赤旗の記事(2008年7月28日)
◆8番(上畠寛弘議員)
実際に、もうこのパワハラというのは社会問題になっていて、共産党の機関紙であるこの新聞赤旗の2008年7月28日の記事に、ハラスメントは相手が望んでいないことをする行為です。人格を否定することは人権侵害に当たり、セクシュアルハラスメント以外のハラスメントの規定がないからって、何の対策も講じないことは許されないと赤旗自身が書いていて、その赤旗をパワハラで買わせているんですよ。そういうことが行われている、御自身が市長になっているとやはり市長の姿勢が問われています。パワハラに対する姿勢、その姿勢をきちんとすべきだと思いますが、いかがですか。示すべきと思いますが。
実際に、もうこのパワハラというのは社会問題になっていて、共産党の機関紙であるこの新聞赤旗の2008年7月28日の記事に、ハラスメントは相手が望んでいないことをする行為です。人格を否定することは人権侵害に当たり、セクシュアルハラスメント以外のハラスメントの規定がないからって、何の対策も講じないことは許されないと赤旗自身が書いていて、その赤旗をパワハラで買わせているんですよ。そういうことが行われている、御自身が市長になっているとやはり市長の姿勢が問われています。パワハラに対する姿勢、その姿勢をきちんとすべきだと思いますが、いかがですか。示すべきと思いますが。
【出典】2013/09/04 神奈川県鎌倉市議会:平成25年 9月定例会
日本共産党国会議員団ハラスメント対策チームの申し入れ
2018年12月17日
厚生労働大臣 根本 匠 様
日本共産党国会議員団ハラスメント対策チーム
職場におけるハラスメントをなくすための実効ある法整備を求める申し入れ
労働政策審議会は14日、「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について」建議を行った。しかし、その内容は、セクハラ、パワハラ、マタハラなどのハラスメント行為の禁止規定を見送るなど、きわめて不十分なものといわざるをえない。
ハラスメントは、働く人の尊厳・人格を傷つけ、多くの被害者が、事後の適切な対応はおろか、謝罪さえ受けることなく、心身に不調をきたしたり、休職・退職に追い込まれたりしている。職場でのハラスメントが、一人の人生を狂わせ、一人の働き手を経済社会から失わせるという深刻な結果をもたらしている。
最大の問題は、ハラスメント行為を規定し、法的に禁止する規制がないことである。そのために、セクハラやパワハラがあったのか、という認定や被害者の救済に大きな困難が生じている。実際、男女雇用機会均等法は、事業主にセクハラの防止措置義務を定めているが、被害が後を絶たず、救済もきわめて不十分である。パワハラについて、法律で「防止措置」を企業に義務付けるとされているが、禁止規定をもたない「セクハラ防止」の現状をみるなら、パワハラの解決には程遠いものである。
世界では、職場におけるハラスメント規制が大きな流れとなっている。ILO(国際労働機関)は、「労働の世界における暴力とハラスメントの除去に関する」条約(案)を策定し、来年の総会で採択する予定であり、加盟国には、この国際基準に沿った取り組みが求められる。しかし、日本は、職場におけるセクハラを禁止する法規定を持たない世界189カ国(地域)中69カ国の一つ(世界銀行調査)であり、国際的にもハラスメント規制の後進国となっている。
広範な労働者、女性の願いという点からも、世界の流れという点からも、被害者の救済とハラスメントの防止に、国として本腰を入れた取り組みを今こそ進めるべきである。
実効ある法整備をすすめるため、以下のとおり申し入れる。
一、2019年に採択されるハラスメント規制のILO条約に見合う水準の、職場におけるハラスメントを包括的に禁止する法整備を行うこと
職場におけるあらゆるハラスメントを規制する、包括的なハラスメント禁止法の制定に踏み出すべきである。それはハラスメントが許されない行為であることを社会的に周知徹底するうえでも重要である。
(1)ハラスメントの禁止規定を明確にした法整備を行う。
セクハラ、パワハラ、マタハラなどのハラスメントが違法であることを明確にし、事業主に対して、事前防止措置とともに、事後の対応措置、再発防止措置の実施を義務付ける立法が必要である。その際、ILO条約(案)が「ジェンダーに配慮したアプローチは、労働の世界における暴力とハラスメントの根絶に不可欠である」と強調していることも踏まえ、「ジェンダーの視点」を重視すること。
(2)ハラスメント規制法による保護対象を、狭い従業員の範囲にとどめるのではなく広く定義する。
ハラスメントの行為者(加害者)の範囲は、使用者と労働者にとどまらず、顧客、取引先、患者など第三者からの行為も含め、国際水準並みに広く定義すること。
※ILO条約(案)は、「労働者」を「従業員、また契約上の地位にかかわらず働く人々、インターンと実習生、雇用が終了した労働者、ボランティア、求職者と就職申し込み者、訓練中の人々を含むべきである」と幅広く定義している。また、「労働の世界における暴力とハラスメントの犠牲者と加害者」には、「使用者と労働者、それぞれの代表、クライアント、顧客、サービス提供者、ユーザー、患者、一般の人々といった第三者でありうる」としている。
二、被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関(行政委員会)を設置する
2017年度に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談は約7千件にのぼるが、このうち、均等法に基づく行政救済に進んだものは「紛争解決の援助申立て」101件、「調停申請」34件に過ぎない。均等法には、勧告に従わない場合の企業名公表が定められているが、セクハラで企業名公表された例は過去に1件もない。「労働局に相談しても埒が明かない」という現状であり、ハラスメントに無力な労働行政で良いのかが問われている。
(1)ハラスメントの防止と被害者救済に労働行政が責任をはたす
加害者と防止措置義務を怠った事業主への企業名公表を含む強力な指導や予防対策への指導を抜本的に強化するとともに、被害者が働き続けられるようにしなければならない。セクハラ、パワハラなどの禁止規定の法定化は、労働行政がハラスメント防止のための強力な指導を行う上でも不可欠である。
(2)独立した救済機関の設置を
ハラスメントを受けた被害者がアクセスしやすく、行われた行為がハラスメントかどうかを迅速に調査・認定し、事後の適切な救済命令(行為の中止、被害者と加害者の接しない措置、被害者の雇用継続や原職復帰、加害者の謝罪と賠償など)を行う、政府から独立した行政委員会を設置することが必要である。行政委員会は、中央と都道府県単位に設置し、ジェンダー差別問題、ハラスメント問題の専門家を委員に選任する。
(※ILO条約案は全労連国際委員会仮訳)
【出典】日本共産党:職場におけるハラスメントをなくすための実効ある法整備を求める申し入れ